関数入力のツボ。
「関数の貼り付け」と「数式パレット」を効果的に使いこなす



「数式パレット」を使いこなそう!

 エクセルを本格的に活用するなら関数が不可欠。合計や平均といった簡単な式の設定から、特定の条件でデータを取り出したり、処理を変えたりといった高度な設定まで関数を覚えると、エクセル活用の幅が飛躍的に広がります。関数は個々のセルに、「式」として設定していきます。

 式は、「=」(イコール)の次に「関数名」を入れ、その後にカッコ( )を、そのカッコのなかに、参照するセルなど「引数(ひきすう)」を指定するというものになります。たとえば頻繁に使うSUM(サム)関数の場合、 =SUM(A1,B2,C3) といった離れたセルを「,」(カンマ)でつないで指定することで、「A1+B2+C3」の合計が求められます。また「=SUM(A3:A7)とすることで、A3からA7のセル範囲に入った数値を合計することができます。しかし、SUM関数のようにカッコ内に入る引数が単純なものはわかりやすいのですが、たとえば今回紹介するLARGE関数やCHOOSE関数のように、比較的使用頻度の低い関数は、どのような引数を使うかがわかりにくく、たとえ何度か使った関数でも、引数の順番を忘れてしまうといったことがよく起こります。そのような場合には、引数の設定に便利な「数式パレット」を使うことをおすすめします。

 関数を設定する場合、式を入れるセルを指定し、そのセルや数式バーにキーボードを使い直接式を入力していく方法のほかに、ツールバーの[関数貼り付け]ボタンを押し、表示された「関数貼り付け」画面から目的の関数を選択、表示された「数式パレット」を使って引数を指定していく方法があります。今回はとくにこの「数式パレット」の使い方に重点をおいて、関数設定のコツを身につけていきましょう。


今回の関数




統計関数  アベレージ 
  平均値を求める
            
書 式 =AVERAGE(数値1,[数値2,…]
平均を求める。関数名の後のカッコ( )内に入る引数は、(A1,B2,C3)のように数値の入ったセル番地か、(C5:C11)といったセル範囲で指定。ここでは、C13のセルに、1月の格産地別売上高の平均を求める「=AVERAGE(C5:C11)」が入っている。


統計関数  ラージ 
  指定された範囲内の指定された順位で、大きな数値を求める
 
書 式 =RARGE(範囲,順位)
指定された範囲内の数値のなかでの大きな数を、指定した順位で求めることができる。たとえば引数の順位で「1」と指定すれば範囲内の最大値が出せる。ここではC5からE11の範囲ないの売上高1位の数値を抽出している。


検索/行列関数  チューズ 
  指定の数値に対応し、値を指定のものに置き換えることができる
 
書 式 =CHOOSE(インデックス,値1[,値2,…])
J8には、I7に入った数字が「1」ならば「☆次回目標売上高☆」と表示、「2」や「3」ならばなにも表示しないという式が入っている。引数は最初に数字が入ったセルを指定。次にそのセルに「1」と入った場合の表示、次に「2」と入った場合の表示といった具合に指定。


平均値を求める

 平均を求めるAVERAGEはなにかと使う機会が多い関数。式の形はSUM関数と同じく、セルやセル範囲を指定していきます。ここではAVERAGE関数を列に、「数式パレッド」の使い方を確認していきましょう。


「関数貼り付け」+「数式パレッド」で設定


(1)平均値を求めるセルC13を選択。ツールバーの(2)[関数貼り付け]ボタンを押す(左隣の「?」は合計を出すときに便利な[オートSUM]ボタン)。




▼「関数の貼り付け」画面が表示。「関数の分類」で(3)[統計]を選ぶ。分類名が不明なら[すべて表示]を選ぶ。「関数名」で(4)[AVERAGE]を選択、[OK]を押す。(A)引数や(B)関数の意味もここで確認できる。




▼「数式パレット」が表示された。ここで選択した関数の引数が指定できる。指定は(6)のような入力用のスペースにセルを指定していくことで、式を設定するというもの。数式パレットはドラッグ&ドロップで自由に移動できる。また(C)を押すと縮小表示される。




▼数式パレットには自動的に「C5:C11」と指定されているが、C5からC11の範囲の平均を求めたいので、マウスポインタでC5:C11に範囲修正((D))。すると数式パレットに(7)「C5:C11」と表示。(8)[OK]を押すと、答えが求められる。(E)引数の説明や(F)数式の結果もここで確認できる。



C13に入った式は
=AVERAGE(C5:C11)


オートフィルで式をコピーする


▼設定の式を横のセルにもコピーする。C13セル右下端の[■]にマウスポインタをあわせ+印に変わったら、目的のセル(F13のセル)までドラッグ&ドロップ。D13〜F13に各範囲の平均値を出す式が設定された。



便利なはずの関数で悩まないために

 エクセルを活用するための重要なツール「関数」。関数を使えば、いろいろな処理が可能になります。とはいえ、合計を求めるSUM関数など頻繁に使うものは使いこなせても、新しい関数に挑戦するのは躊躇してしまうもの。その原因のひとつが、関数名のわかりにくさにあります。関数名そのものを数式バーに入力したくても正確なつづりがわからない、[関数貼り付け]ボタンで「関数の貼り付け」画面を表示させ、「関数の分類」で選ぼうにも、目的の関数の分類名がわからないといったことがよく起こります。そんな場合は「関数の分類」で[すべて表示]を選び、該当する関数を、表示される関数の説明を参考にしたり、ツールバーの[ヘルプ]ボタンを押し、表示された[質問]タブを選び、キーワードを入れ検索しましょう。

 とはいえ、関数のヘルプはまだまだわかりづらいのが正直なところでしょう。次のバージョンのエクセル2002では質問を入力できる「質問バー」がツールバーに追加されたり、関数を入力すると引数がポップヒントで表示されたりと、関数についてのヘルプ機能が強化されています。関数の使いやすさが向上した新しいエクセルに期待したいものです。



ひとつの関数で合計・平均・個数などを求める

 統計表の分析などでよく使うのが合計のSUM、平均のAVERGE、データの個数を求めるCOUNT、最大値を求めるMAXなど。じつは各関数を設定しなくても、ひとつの関数で対応できる技があるので紹介しましょう。


関数のしくみ

 1:AVEREGE
 2:COUNT
 3:COUNTA
 4:MAX
 5:MIN
 6:PRODUCT
 7:STDEV
 8:STDEVP
 9:SUM
10:VAR


SUBTOTALの「集計方法」は、1:AVERAGEは平均、2と3のCOUNTとCOUNTAはデータ個数を求めるもの、4:MAXは最大値、5:MINは最小値、6:PRODUCTは引数の積、7と8のSTDEV、STDEVPは標準偏差値を求めるもの、9:SUMは合計、10:VARは統計上の分散を求める。


SUBTOTAL関数を使う


▼SUBTOTAL(サブトータル)関数を使うと、平均、最大値、最小値などが求められる。(1)C13セルを選択、(2)[関数貼り付け]ボタンをクリック。「関数の貼り付け」画面で(3)[ 数学/三角]、(4)[SUMTOTAL]を選び、(5)[OK]を押す。




▼表示された数式パレットで、(6)「集計方法」で[1]、(7)「範囲」で[C5:11]を指定、(8)[OK]ボタンをクリック。「集計方法」で[1]を選ぶと指定セル範囲の値の平均が求められる。



C13のセルに入った式は
=SUBTOTAL(1,C5:C11)


▼SUBTOTALを使い、C5:C11範囲の最大値をC14に、最小値をC15に出す。(9)には「=SUBTOTAL(4,C5:C11)」、(11)には「=SUBTOTAL(5,C5:C11)」と、ともに集計方法を変えるだけで答えが求められた。



大きい順に値を求める

 最大値を求めるならばMAXですが、大きい順に順位を指定し、数値を抽出する関数があるので紹介しましょう。また入力された数字にあわせ表示を変えることができるCHOOSE関数についてもみていきましょう。


LARGE関数を使う


▼ここでは売上高のうち、(A)に入力された「1」位のものを抽出する式を設定する。式を入れる(1)J7のセルを選択。(2)[関数貼り付け]ボタンを押し、表示された「関数の貼り付け」画面の「関数の分類」で(3)[統計]を選択、「関数名」で(4)[LARGE]を選択、(5)[OK]を押す。




▼「範囲」に(6)[C5:E11]を、「順位」に(7)[I7]を選択。なおI7のセルは、「1」と数字だけを入力しても「1位」と表示されるよう、「表示形式」の[ユーザー定義]で[G/標準"位"]と設定している。



J7のセルに入った式は
=LARGE(C5:E11,I7)



値をリストから選択できるようにする


▼I7のセルは「1,2,3」のうちから選択できるように設定した。I7を選択し、メニューバーの[データ]→[入力規則]を選ぶ。(1)[設定]で、(2)[リスト]にし、(3)[1,2,3]と指定。(4)をチェック。(5)[OK]ボタンをクリック。




応用技に挑戦!


▼さらにI7のセルが「1」ならば、J8のセルに「☆次回目標売上高☆」と表示されるように設定する。J8セルを選択し、[関数貼り付け]ボタン→「関数の分類」で(1)を、「関数名」で(2)を選択、(3)[OK]を押す。




▼「インデックス」には(4)[I7]を選ぶ。「値1」はI7に入った数字が「1」の場合の表示(5)を設定。(6)「値2」、(7)「値4」にはI7に「2」「3」が入った場合、空白にするよう「""」とだけ設定する。



J8のセルに入った式は
=CHOOSE(I7,"☆次回目標売上高☆","","")


文字と数字を組み合わせて表示する



H11のセルには、F13で求めた平均売上高が表示されるようになっている。さらにH11セルで右クリック→[セルの書式設定]→[表示形式]のタブを選び、「分類」で[ユーザー定義]、「種類」の下のボックスに["☆平均売上高は"\#,###"です"]と設定、[OK]を押す。「\#,###」は数字を3桁区切りの\表示にする設定。文字列は「"」で囲む。