四捨五入や切り捨て、切り上げなど
「数値を丸める」関数を使いこなす!



ROUND関数を使いこなそう

 エクセルの関数の[数学/三角]関数のなかには数値の端数を処理するものがあります。

 端数を処理する関数とは、通常の計算で求められた数値の整数部、小数部を切り捨てたり切り上げたり、四捨五入したりして希望の桁数にそろえる関数をいいます。これを英語のROUNDにちなんで「数値を丸める」という言い方をします。

 今回は、「数値を丸める」=「端数を処理する」関数として基本的な、ROUND(ラウンド)、ROUNDUP(ラウンドアップ)、ROUNDDOWN(ラウンドダウン)、INT(イント)、TRUNC(トランク)、関数についてみていくことにしましょう。ROUND関数は、桁数を指定して数値を四捨五入します。ROUNDUP関数は、指定した桁数数値を切り上げ、ROUNDDOWN関数は、数値の切り捨てに使います。いずれもポイントは「桁数」にあります。たとえばROUND関数の場合、桁数を「0」にすると小数点以下が表示されないように四捨五入し、「1」にすると小数点以下1桁で表示するよう四捨五入します。まず、ROUND関数で四捨五入を自在に行えるようになりましょう。次は小数部分の切り捨てです。INTとTRUNC関数は小数部を切り捨てて整数部を求める場合に利用します。この2つの関数は、一見、同じように見えますが、負の値を数値としたときに、返される値が異なってくるので注意が必要です。INTが「数値を超えない最大の整数を返す」関数なので、たとえば「−1.7」をINTで切り捨てると「−2」となり、TRUNCを使うと「−1」となります。また数値を切り捨てるにはROUNDDOWN関数も使います。この数値の切り捨てに使う3つの関数の使い分けについては、あらためて121ページでみていくことにしましょう。

今回の関数




数学/三角関数
 イント 
 小数部分を切り捨てたい
            
書 式 =INT(数値)
小数部分を切り捨て、整数部分だけを表示させる場合はINT関数を使う。ただし数値が負の場合は、INTは「数値を超えない整数」を出す関数のため、たとえば「−1.7」は「−2」となる。数値を切り捨てる関数としてはTRUNC関数もある。TRUNCでは「−1.7」は「−1」と求められる。


数学/三角関数
 ラウンド 
 希望の桁数で四捨五入したい
 
書 式 =ROUND(数値,桁数)
数値の四捨五入や切り捨て、切り上げを英語のROUNDにちなんで「数値を丸める」という。ここでは希望の桁数になるように四捨五入するROUND関数を使っている。たとえば、桁数を「0」に設定すると「12.55」は「13」と、桁数を「1」とすると小数点1桁まで表示され「12.6」となる。



希望の桁数で四捨五入する

 数値の端数を処理する(数値を丸める)関数の基本的使い方を、ROUND関数を例にみていきましょう。ROUND関数は希望の桁数に四捨五入するための関数。ポイントは桁数の指定にあります。


ROUND関数を使いこなす

▼C列「仕入値」に1.25を掛け、四捨五入したものを「定価」とする。(1)定価を出すセルD6を選択。(2)[関数貼り付け]ボタンを押す。「関数の貼り付け」画面で、「関数の分類」で(3)[数学/三角]を、「関数名」で(4)[ROUND]を選び、(5)[OK]ボタンを押す。




▼表示されたROUNDの「数式パレット」で、「数値」には(6)[C6*1.25]、「桁数」には小数点以下なしの整数で表示させたいので(7)[0]と入力し、(8)[OK]ボタンを押す。




D6に入った式は
=ROUND(C6*1.25,0)


桁数と求める位を確認

▼ポイントは桁数の指定。小数点以下を表示させない場合は「0」。小数点以下1桁で表示させるなら「1」。「-1」とすると、1の位を四捨五入するので、たとえば「123」の場合「120」となる。

桁 数 表
桁数 求める位
-2 百の位
-1 十の位
0 一の位
1 小数第1位
2 小数第2位


希望の桁数で「切り上げ」なら

▼数値を「切り上げる」場合はROUNDUP関数を使う。ここではROUND関数と同様にC列に仕入値に1.25を掛け、切り上げている。桁数もROUND関数と同様の設定。




希望の桁数で「切り下げ」なら

▼同様に数値を「切り下げる」場合はROUNDDOWN関数を使う。ここではC列の1.25倍の値を切り下げる設定を行っている。ここでもポイントは桁数の設定。「0」ならば小数点以下の切り下げとなる。



知ッ得
たとえば「123.4」を、希望の桁数で「四捨五入」するROUND関数で、桁数「10」と指定すると「123」。「切り上げる」ROUNDUP関数を使い、桁数で「0」と指定すると「124」となる。また希望の桁数で「切り下げる」ROUNDOWN関数で、桁数「0」と指定すると「123」、「-1」で「120」となる。

「表示形式」を賢く使いこなす

 関数を使わなくても数値をボタンひとつで丸める方法があります。ひとつはツールバーにある[通貨スタイル]ボタンを押す方法。これで小数点表示の数値も整数に四捨五入され表示されます。またツールバーの[小数点表示桁下げ]ボタンを押す方法もあります。これら数値の表示方法は[表示形式](セルで右クリック→[セルの書式設定]→[表示形式])で、より細かな設定ができます。ボタンを使うだけでなく[表示形式]で設定する方法に強くなるようにしましょう。


関数なしで切り上げ・切り下げる 

統計表の分析などでよく使うのが合計のSUM、平均のAVERGE、データの個数を求めるCOUNT、最大値を求めるMAXなど。じつは各関数を設定しなくても、ひとつの関数で対応できる技があるので紹介しましょう。



「通貨スタイル」ボタンを使う

▼「=C5*1.25」という式では小数点以下も表示される。式の入ったセル範囲を指定(離れたセル範囲の場合は(1)[Ctrl]キーを押しながら選択)、(2)の[通貨スタイル]ボタンを押すと小数点以下1桁で四捨五入される。




「小数点表示桁下げ」ボタンを使う

(1)定価を求める式の入ったセル範囲を選択、(2)[小数点以下桁下げ]ボタンを押しつづけると、小数点で表示されていた部分が四捨五入され整数表示になる。逆に(3)の[桁上げ]ボタンを押すと、小数部分が表示される。




「表示形式」を使いこなす

右クリック→[セルの書式設定]→[表示形式]タブ
値が入ったセルで右クリックし[セルの書式設定]→(1)[表示形式]タブで表示される画面で細かく設定できる。(2)[数値]を選ぶと、表示される(3)「小数点以下の桁数」が設定可能。(4)[通貨]を選ぶと、ツールバーの[通貨スタイル]と同様の「\」表示やドル表示などが細かく設定できる。




「表示桁数」で計算する場合は

(1)D20のセルには各定価の合計額を出した。しかしここでは小数点以下を表示させていないだけなので、小数点以下部分も含めた合計値が計算されている。そのため数値を四捨五入後計算した値とは異なってしまう。


▼そこで四捨五入した定価の値の合計と一致させる場合は、(2)[ツール]→[オプション」で表示される画面で(3)[計算方法]タブを選び、「ブック オプション」の(4)[表示桁数で計算する]をチェックし(5)[OK]ボタンを押そう。これで正しい合計値が求められる。



知ッ得
ツールバーの「通貨」ボタンを押すことで、数値は頭に\が付いた3桁区切りで表示できるが、これを関数で設定することができる。使う関数はYEN。書式は「=YEN(数値,桁数)」。桁数は小数点以下の桁数のことでROUND関数と同じ。「1」ならば小数点以下第1位まで表示。

整数部分だけを算出するには

 ここでは小数点以下を切り捨て、整数部分だけを表示させる関数についてみていきます。整数表示にするにはINT、TRUNC、ROUNDDON関数があります。この3つの関数の使い分け方法を身につけましょう。



小数部分を切り捨てるには

(1)G6セルは売上額(税込)を求める式として定価に個数を掛けた値に、1.05を掛け消費税込みの値を求めている。税込額の場合、数値は小数点以下切り捨てで計算するので、ここでは切り捨てる関数としてINTを利用。(2)[関数貼り付け]ボタンを押し(4)[INT]を選ぶ。




▼INTの数式パレットが表示される。(6)「数値」にE6の価格にF6の個数を掛け合わせ、さらに消費税込みの値を求めるために1.05を掛け合わせる。(7)[OK]ボタンを押すと、小数点以下を切り捨てた値が求められる。



G6のセルに入った式は
=INT(E6*F6*1.05)


TRUNC関数との違い

▼TRUNC関数でも小数点以下を切り捨てることができる。使い方はINTと同様。数式パレットでは「桁数」が表示されるが、これは省略してもOK。INTとの違いは負の場合の処理。たとえば「-1.6」を「数値を超えない最大の整数を出す」INTで切り捨てると「-2」、TRUNCの場合「-1」となる。




小数部分を切り捨てるには

▼ROUNDOWN関数でも小数点以下を切り捨てることができる。ただし、TRUNC関数とは異なり、引数で「桁数」は省略できないので注意。省略して入力すると下の画面のようにメッセージ画面が表示される。



今回の表示形式
通貨スタイルの表示形式

数値を3行区切りの通貨スタイルで表示するには、[通貨スタイル]ボタンが便利。だが、このボタンでは小数点以下の表示ができない。自由に設定するには、目的のセルで右クリック→[セルの書式設定]→[表示形式]タブの画面で、「分類」で(1)[通貨]を選び、(2)「小数点以下の桁数」や、(3)通貨の「記号」、(4)「負の数の表示形式」を設定する。